終わる旅、始まる旅(ロサンゼルスの日刊日本語新聞「羅府新報」(らふしんぽう)9月13日付けの記事「今を生きるシリーズ7回テロ1年後の人間像から」記者は平野真紀さん)
「被爆体験国から来た一人として、平和を訴えたい」とロサンゼルスを旅立ち、一カ月。小塩さんは、11日、セントラル・パークへ行き、ジョン・レノン記念碑前で、ベトナム戦争反対を訴えたレノンの曲「Give
Peace a Chance」を歌った。すると、集まった人々が合唱し始め、人の輪が百人以上に膨れ上がった時のパワーは、人種や言葉の壁を超えた。
「アメリカの真ん中で、戦争への批判をあからさまに口に出すのはタブーだと思っていた道中、話してみると、米国の報復戦争が正しいと言う人はいなかった」
アリゾナ州では米先住民「ホピ族」と交流。降り注ぐ流れ星に「祝福」されながら歌ったコンサートでは種族の伝統的な楽器とともに、これまでで最高のジャムを体験した。「相互理解や平和のために、自分ができることは何か」。同時テロ以来模索してきた問いの答えが、コンサートの終盤に見えた気がした。
「グラウンド・ゼロ」は世界中から集まる追悼のエネルギーで、悲しみが消化されたかのようだった。広島の原爆ドームのような悲惨さは漂っていなかった。
折り鶴は、ニューヨークで再開した日本からの友人が持ってきた五千羽を含め、合計一万羽を越えた。ニューヨークの消防署や学校などに、千羽ずつ寄贈する計画にしている。
「兵器所持などの威嚇で起きる戦争は、お互いが信頼できれば防げるはず」。演奏のために快く場所を提供してくれた人々や旅費の寄付を申し出てくれた人を含め、各地で生まれた心の交流が、そんな思いを不動にした。
「今回の旅ほど、自分の小ささを強く感じたことはなかった。これから学ばなければならないことがまた増えた」。小塩さんの旅は、これからが本番だ。
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